元日 / 渡韓日記

1月1日(月)

元旦というこの日が、我々日本にとって、

一年のいかなる日よりも大切な意味を持っているというのに。

しばらく言葉をつむぐのはやめようと思う。

心で祈る。

これからの人生の問いかけが始まった。




渡韓日記

1日目

10時半、成田空港へ向けて出発。羽田から出発の予定が、普段使用するANA(全日空)、自分の凡ミスでフライトチケットの取得に失敗。急遽、LCCにて仁川空港へ向かう事に。いつもの旅の相棒、RIMOWAのスーツケースはやめて、初心に戻りパックパック(PORTER ’EXTREMEシリーズ’)で行くことにした。デジタルカメラ、今回はリコーのGRを。第三ターミナル到着、まずはサッポロ黒ラベルを一本。本を忘れたことに気づき、空港内の書店で文庫本を一冊購入。さよなら日本、行ってきます。上空から、大切な人を思う。当たり前に人を大切に、難しいけど自分も大切に。日本列島を上空から眺める。被災地の方向へ目を閉じてそっと手を合わせた。
仁川空港到着。着いた瞬間、韓国の匂い。そうそう、この感じ。空港にてSIMを入れ替えてみたものの回線不可。何度やっても回線不可、不可、不可。一瞬にして頼みの綱は無くなった。まぁいいか。昔は携帯電話なんてなかったしー。イミグレーションすんなり通過。さてと、ここから電車で向かうか、バスで向かうか、タクシーで向かうか。スマホで調べることができないぞ~(いいねぇこのヒリヒリ感)。右ポケットに入れたと思っていた、お金(ウォン)も、どうやら忘れたらしい。もう、笑うしかないな。記憶を頼りに、仁川国際空港第一ターミナルから高速鉄道に乗り(韓国版Suicaのようなもの持参)。まず目指すのはホンデ駅だ。成田空港で購入した文庫本、デジタルメディアシティ駅を過ぎたあたりで読了。どうしよう、すでにここで読む本が無くなってしまった。車中の広告を眺めているうちにホンデ駅に到着。ここから地下鉄4号線に乗り換えてシンチョン駅に到着。7番出口のエスカレーターを登るきると、極寒の突風がお出迎え。サンキュー、好きだぜこの寒さ。駅前の屋台でおでんをつまみたいところだが、まずはホテルにチェックイン。12階からソウルの街並みを眺める。そういえば私は何をしにここに来たのか一瞬忘れてしまった。そうだそうだ、友人のカフェの24周年を祝いに来たのだ。今夜はその店で記念ライブが開催されるのだが事前情報ではチケットはソールドアウト、もちろん予約はしていない笑。今回の渡韓は、ソウルの友人には誰一人にも言わず内緒で来ている。エントランスで「今夜の公演はソールドなんです、残念ですが入店はできません」なんて言われても仕方があるまい。そしたら映画でも観に行って、二、三度訪れたことのある’ウッドストック’というミュージックバー(リクエスト可能、前回の旅ではピンクフロイドを爆音でお願いした)でも行ってみようか。なんてったって何をするにも自由の身(外は寒いけども‥)。寒空のソウルの街を一人歩く。小腹も空いてきたしそのこ小道の角にある’キンパ天国’(お店の名前)でチャムチキンパを食べたいなぁ、なーんて思っているうちに、友人の店’空中キャンプ’に到着した。すんなりとエントランスを通過、友人、目をまん丸くしてしてお出迎え。そりゃ、びっくりするよね。結局、すぐにカウンター内に座りアコースティックライブを堪能させていただく。終演後、友人のヒョクとパートナーのジンソン、ヒウォンが’どうやらコウヘイがキャンプにいるらしい’との情報をキャッチして、タクシーで駆けつけてくれた(感動、嬉しい!!)。抱き合いながら感動の再会。ビールで何度も何度も何度も乾杯。とっても嬉しい瞬間。’コウヘイ、明日の予定は?’とヒウォン。ノープランだと告げると、美味しいランチを食べに行こうと言ってくれる。もちろんOK。明日、12時にハプチョン駅の11番出口で待ち合わせることに。ライブ機材をスタッフと共に片付けて本日は終了。ホテル帰着は朝5時半過ぎ。ホテルの寝室でふと思う。私の人生は何処へ向かっているのだろうか。充実しすぎていて夢のようだ。


2日目

どういうわけか、二日酔いはない。そして私の携帯電話は相変わらず通信を許してくれない。シンチョン駅前(下北沢?のような場所)のホテルから隣のホンデ駅まで時間にして30分くらいだろうか、ゆっくりと歩いて向かうことにする(ちなみに数年前、この30分間の道のりを共に歩いたことがある人がいる。曽我部恵一さんだ。大切な思い出。)。駅と駅の中間地点、ひっそりとした裏通り、個人的にかなり影響を受けたカフェがあったのだが、残念ながら閉店(厳密には栄転と後に気付く)していた。途中、テイクアウトの珈琲屋(ソウルの街はたくさんコーヒーショップが存在する)で、アメリカーノを注文、とんでもなくサイズが大きくてそして熱い(そうだった、これも韓国スタイルだよね)。大都会のホンデ駅(渋谷?新宿?のような場所)から地下鉄にのりハプチョン駅に到着。無事にヒウォンと再会、彼女はビオラ奏者でスポーツ万能。最近は水泳に夢中のようだ(今年の夏にまた渡韓する際に、韓国のプロ野球を一緒に観にいく予定だ)。ビルとビルの合間を抜けてお目当ての店に向かう途中、ヒウォンが大声で’コウヘイ!!アーバンラット!!’と叫ぶ。我々の目の前を通り過ぎる都会のネズミ一匹。’アーバンラット’って良い響きだなぁと思った。’食同屋’毎年のようにミシュラン(2018年から毎年)を獲得するお店だそうだ。到着するとすでに長蛇の並。ここでヒョクとジンソンも合流。予約受付を済ませて、近くのカフェ’Beliecoffee roasters’へ移動。ヒョクに携帯のSIMが使えない旨を相談すると色々と設定をみてくれる。ヒョクは素晴らしいギタリスト、そして作詞作曲も手がけており、作家として本も上梓している。おまけに機械にめっぽう強いとても大切な親友。美味しいクロワッサンをシェアし珈琲を飲みつつ、談笑しつつも私の携帯と格闘すること1時間、私の携帯はヒョク手腕によって無事にSIM開通となった!!その瞬間、四人で立ち上がってみんなで手を叩きあい喜ぶ(周りのお客様、大変失礼しました)。早速、今夕に渡韓する店長Gに連絡して待ち合わせ場所を決めた(携帯使えると便利~)。あ、’食同屋’の澄んだスープのデジコムタンはとっても美しくて衝撃的でした。そして店の面構えも本当に素晴らしく勉強になりました。食後、一旦、ヒョク、ジンソン、ヒウォンを別れた私は、地下鉄に乗りホテルをチェックアウト。本日のゲストハウスにチェックインして、シンチョン駅の改札出口で店長Gと無事に合流。’とりあえず何食べたい?’’やっぱり最初は焼肉でしょ~’と店長G。だよね。いつもの焼肉屋へGO。焼肉はもちろんだが、寒空で渇ききった喉元に染み渡るビールの味はいつもでチンチャマシッソヨ(とても美味しい)なのだ。お腹を満たした我々はホンデの街へ繰り出し、スニーカー(店用)、その他諸々店の備品や食材を買い込む。夜半、空中キャンプへ移動し再び三人と合流。店長G、はじめましてとご挨拶。ジンソンから’焼肉(サムギョプサル)行こうよ!!’と打診、もちろん答えはYESだ。炭でモクモクになりながらワイワイと円卓テーブルを囲んで食べるサムギョプサルの美味しいことよ。店長Gもほくほく顔ですね。嬉しいひと時。スナック菓子を買い込んで、再び空中キャンプへ戻り音楽を聴いたりバカ笑いしたり。気づくとやっぱり朝方に。明日の早朝は友人S君が渡韓する。S君は1泊2日の強行旅行(来てくれる勇ましさに感服している。ありがとう。)。存分に楽しんでもらいたい。アテンド準備はバッチリだぜ。


3日目

ホンデ駅、エアポートターミナル出口を出て直進すると右手側に’ダンキンドーナツ’ある。ここをS君との集合場所にした。見知らぬ土地の駅前で待ち合わせするってなんだか新鮮だよね。朝7時、無事にS君と合流。一旦ホテルに荷物を置いてウルチロサムガ駅に到着。私の大好きなカンジャンシジャン(市場)へ向かう。早朝の市場にはまださほど動きはないが、必ずオープンしているトースト屋(屋台)がある。店長GとS君はそこでカンジャントースト、私はインスタントコーヒー。トーストを一口もらう。うまい、うまいのよ。なんてこない味なんだけど、うまい、うまいのよ。薄ーいコーヒーと合う、合うのよ。目下続々と開店準備中の市場をゆっくりと探索しつつ、そのまま歩きながら東大門市場をひやかして、せっかくならばと、観光スポットのメッカ’明洞(ミョンドン)’到着。オリーブヤング(コスメティックショップ)で空中キャンプのスタッフに教示してもらった化粧品を購入する店長G(よかったね!!)。時計の針は11時を過ぎたあたり、我々男2人はスニーカーを物色しつつも、そろそろガソリン(お酒)を補給したいところだ。再びカンジャンシジャンに戻り、初渡韓の方々には絶対に食してもらいたいピンデトッ(チヂミ)屋さんへ。この市場にピンデトッ屋は数件あるが、私の長年のリサーチにより訪れる店はこの店一択。熱々の緑豆チヂミとキムチ。うまい、うまいのよ。緑豆チヂミのお供はマッコリだ。これが合う、合うのよ。さらなる食を求め、我々はホンデ駅へと舞い戻り、お目当ての唐揚げ屋’レゲエチキン’へ直行するもまだオープンしておらず泣く泣く断念(残念すぎて店前で記念撮影をした)。レゲエチキン、レゲエチキン、私の愛して止まないレゲエチキン。読んで字のごとく、レゲエが流れる店内で幾多のフレバーチキンとビールをぐいぐい飲るお店なんですよ。次回の渡韓時には必ずや再訪を誓う(S君、次回は必ず行きましょう)。チキンを食べてホテルへ帰る作戦だった我々は肩をおとしたものの、帰りがげに気になっていたジャージャー麺屋で小腹を満たしつつ、一旦ホテルで休憩し、本日の夕食場所であるタッカンマリ屋(鶏の水炊き鍋のようなもの)へ向かった。タッカンマリの美味しさの説明はここでは割愛する、というか、友人みんなに食べてもらいたいんだよね。この美味しさを知ってしまうと、このためだけに渡韓してもいいかなぁ、なんて思えてくるんだよ(というか、必ず食べるし。行かないと機嫌が悪くなるかもレベルだ)。締めにククス(麺)とパプ(お米)も堪能、もちろんビールもしこたま飲み大満足。さてと、最後の終着駅、空中キャンプに行きましょうね。大親友のgo-mamaが営む店、空中キャンプ。go-mamaのおかげでこの店(空中キャンプ)でリラックした時間を過ごすことができるのだ。あらためて親友の大切さを実感し感謝する。目の前のカウンターでは店長GやS君が初めて会った新たな人々と言葉を交し国際交流をしている。彼女彼等にも今後何十年も寄り添うこととなる親友ができるのかもしれない。瞬間と永遠、素晴らしい時間だ。たっぷり(酒も)話し込んだキャンプからの帰り道、唐突に店長Gがカムジャタン(ジャガイモと豚肉の鍋)行きますか!!と提案してきた。深夜24時はとうに過ぎている。S君も笑顔で行きましょう!!と。こうなったら行くしかないよね~。何を隠そう我々の大好きなカムジャタン屋は24時間営業なのである。朝が近づく時間に大汗をかきながら3人で食べる鍋の味を私は忘れることはないだろう。目の前の鍋のエキスと同様、とっても’凝縮’された大切な思い出がまた一つ増えた瞬間だった。

お金のない時代に訪れる旅でしか見れない風景や経験(知恵)は確実に存在し、少し余裕が出た時に訪れる旅でしか見れない景色も必ず存在する。また、旅というものは失敗がつきものだが、自分の行動で失敗(と思っていた事)は成功に変わったりもする。どちらにせよ飛び込む勇気が必要だ。


繋がりを作るためにリアルに人と目を見て話して己の人生を蓄積していくのか、手っ取り早くインターネット(SNS)を使うのか。

幾多の経験や体験に重きをおくのか、どこにも飛び込まず現実のみを大切にするのか。

人それぞれだが、私は前者を選びたい。



韓国の大切な親友達に心から感謝します。

コマウォヨ~。

2024年の夏にまた会おうね。